基本方針
麻酔とは、手術中の意識を無くすことだけが目的ではありません。病気そのものや手術、さらに麻酔に関して不安に陥りがちな患者さんを、周術期を通じて安心して手術を受けて頂くこと、それが麻酔科医の基本的な業務であり目標です。そのために、たとえば、手術後の鎮痛法や、術後の呼吸・循環・脳神経系などの機能を維持して術後の回復を助けるように手を尽くすことが、私ども麻酔科医の役割となります。
当院はハイブリッド手術室やロボット支援手術など、最先端の設備を備えております。充実した設備のもとで、これまで以上に精度の高い手術を提供できるようになりました。また、当院には、集中治療室など、難しい手術に対する体制も充実しており、各診療科の専門医と連携しながら、最良の周術期医療を提供できるよう努めています。
痛みをとる方法や呼吸・循環を管理する技術は、手術室麻酔ばかりでなく、ペインクリニックや集中治療などにも応用され、麻酔科の守備範囲は広がっています。マンパワーの改善が見込まれた時点で、現在閉鎖中のペインクリニック外来の再開や集中治療室へ麻酔科医専門医が専任医師として活躍できるように考えております。
診療内容・特徴等
現在、当院麻酔科は常勤麻酔科機構専門医5名と麻酔科専攻医2名の7人体制となっています。当院は山形県の基幹病院として県内全域から患者さんが紹介されてきます。手術の対象となる患者さんは新生児から90歳を超える高齢者まであらゆる年代におよび、重い合併症(特に心・肺・脳血管合併症)のある患者さんの手術も増えています。また、救命救急センターを併設しているため重症患者の緊急手術も多く、より高度な麻酔管理が求められます。
最近の麻酔薬および麻酔関連薬の進歩は著しいものがあります。また、患者の状態を把握するためのモニターや気道確保の方法も様々なものが考案されています。これらの最新の機材や知見をできる限り取り入れて、より良い麻酔管理を目指して努力しています。
麻酔の安全と共に術後の疼痛管理も重要な課題です。術後鎮痛には硬膜外麻酔が最も有効とされてきました。しかし、術前の合併症や術後肺塞栓予防のために抗凝固薬や抗血小板薬を投与される患者さんが多くなってきています。このような患者さんでは硬膜外麻酔を行うことが危険な場合があります。最近、超音波診断装置の精度の向上により、安全かつ有効な神経ブロックが可能となり注目されています。当院では、山形県内の他病院に先駆けて各種神経ブロックの応用を進め、四肢の神経ブロックのみならず、体幹部のブロックも積極的に行い、術中管理および術後鎮痛に良好な結果が得られています。また、患者さん自らが必要に応じて鎮痛薬を注入できるPCAポンプの台数も増え、適応のある患者さんの多くに施行可能となりました。 これからも、患者さんの安心と満足が得られる良い麻酔を提供できるよう努力していきたいと考えています。
当院は研修医を育てる教育病院としての性格も持っています。麻酔科の研修では指導医と研修医の一対一の指導を行い、麻酔の安全を確保しながら、小児や心臓麻酔にいたるまで経験できる充実した研修となるよう努めています。2023年度から当院独自の専攻医研修プログラムを作成し、2024年度からそのプログラムのもと専攻医が研修しています。当院は山形県の中心的な病院であり、手術件数も多く、その内容も多岐にわたっています。充実した設備と多彩な症例に恵まれた当院は、麻酔科の専門医を目指す医師にとっても良い機会を提供できるものと考えます。
スタッフのご紹介
氏名 | 卒業年・資格 | 専門・研究分野 |
---|---|---|
高岡 誠司 | 昭和63年卒 |
麻酔一般 神経麻酔 |
星川 民恵 | 平成12年卒 |
麻酔科 |
押切 智子 | 平成19年卒 |
麻酔一般 |
渡邊 具史 | 平成23年卒 |
麻酔一般 |
須田 拓郎 | 平成23年卒 医長 |
麻酔一般 心臓麻酔 |
小森谷 祐太 | 平成30年卒 麻酔科標榜医 |
麻酔一般 |
伊藤 明伸 | 令和4年卒 | 麻酔一般 |